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仮想通貨交換所大手のFTXトレーディングが経営破綻し、顧客資産が約100億ドル（約1兆円）不足していることが判明しました。この事件は仮想通貨業界に大きな衝撃を与えていますが、その背景にはFTX創業者のサム・バンクマンフリード氏が関与した闇の取引があります。米当局はこの取引について訴訟や捜査を進めており、バンクマンフリード氏や元幹部らに対する刑事責任も問われる可能性があります。
FTXは2019年に設立された香港拠点の仮想通貨交換所です。ビットコインやイーサリアムなどの主要な仮想通貨だけでなく、株式や商品などをトークン化したデリバティブ（派生商品）も取り扱っており、高いレバレッジ（倍率）を利用できることから多くの投資家に人気でした。また、自社発行のユーティリティ・トークン（サービス利用権）であるFTTも提供しており、これを保有することで手数料割引や投票権などの特典を得られる仕組みになっていました。
しかし、2022年11月6日に突如としてプラットフォームからの資金引き出しを停止しました。その後、顧客資産が約100億ドル不足していることや、自社発行トークンFTTに裏付け資産がなかったことなどが明らかになりました。また、バンクマンフリード氏は自分のヘッジファンドであるアラメダ・リサーチにFTXの顧客資金を流用していたことも認めました。
これらの事実は米当局からも注目されており、米証券取引委員会（SEC）や米商品先物取引委員会（CFTC）はFTXやアラメダ・リサーチなどに対して民事訴訟を起こしました。また、連邦捜査局（FBI）も刑事捜査を開始しました。これらの当局はバンクマンフリード氏や元幹部らが電子詐欺や詐欺、マネーロンダリング（資金洗浄）、選挙資金法違反などの共謀行為を行ったと主張しています。
特に注目されている闇の取引は以下のようなものです。
バンクマンフリード氏は自分のヘッジファンドであるアラメダ・リサーチにFTXの顧客資金を流用していました。これはFTXの利用規約に違反するだけでなく、顧客に対する詐欺行為とみなされます。バンクマンフリード氏はこの資金を使って仮想通貨や株式などの取引を行っており、損失が発生した場合にはFTXの資産を補填していたとされます。しかし、2022年10月に仮想通貨市場が暴落した際に、アラメダ・リサーチは巨額の損失を出し、FTXも資金不足に陥りました。
- バンクマンフリード氏は自社発行トークンFTTに裏付け資産がなかったことも認めました。FTTは元々、FTXの収益の一部をバーン（焼却）することで供給量を減らし、価値を高めるという仕組みになっていました。しかし、実際にはバーンされたトークンは再発行されており、その分だけバンクマンフリード氏やアラメダ・リサーチが保有していました。これらのトークンは市場で売却されており、価格操作やインサイダー取引の疑いがあります。
- バンクマンフリード氏は2020年から2021年にかけて米国大統領選挙への政治献金を行っており、その際にもFTXやアラメダ・リサーチから流用した資金を使っていたとされます。これは米国選挙法に違反する可能性があります。また、バイナンス創業者である趙長鵬氏（通称CZ）やコインベース創業者であるブライアン・アームストロング氏など他の仮想通貨関係者からも多額の政治献金を受けており、その背後に何らかの取引があったという疑惑も浮上しています。
以上が米当局が追及する闇の取引です。これらの取引は仮想通貨業界全体に影響を及ぼす可能性があります。特にバイナンスやコインベースなど他の大手交換所との関係性や競争力が問われることでしょう。また、仮想通貨投資家や開発者などコミュニティ内でも信頼性や透明性が求められることでしょう。
一方で、この事件は仮想通貨業界への規制強化や監督強化も促す可能性があります。米当局は既存の証券法や商品先物法などを適用して事実上的な規制強化に乗り出していますが、それだけでは不十分だという声もあります。仮想通貨特有の問題点や特徴を踏まえた新たな法律や規則の制定が必要だという主張もあります。また、仮想通貨業界自身も自主的にガバナンスやコンプライアンスを強化する必要があるという意見もあります。
仮想通貨は金融システムのイノベーションとして期待されていますが、その一方でリスクや不正も多く伴っています。FTXの経営破綻と闇の取引はその典型例です。仮想通貨業界はこの事件を教訓にして、より健全で安全な発展を目指すべきです。
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